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命の賛歌

命の賛歌

ニューヨーク市消防局32分署

ジェシカ・ロック 
2001年9月11日、世界中を震撼させた未曽有の大事件がアメリカで起きました。いわゆる同時多発テロです。超高層の世界貿易センタービルが崩壊するショッキングな映像を今も鮮明に覚えておられる方も多いことでしょう。本書は、その当日、貿易センタービルに真っ先に駆け付け、消火・救助活動に当たったニューヨークの消防士たちに対して、何か自分にできる事があるのではないかとの思いで、ボストンからニューヨークに駆け付けた一人の女性の視点で描かれた実話です。音楽家であり、映像作家でもある著者ジェシカ・ロックは、自身も幼少期に辛い生活を経験し、それがトラウマとなって彼女の人生に大きく影を落としていた。成人して、交通事故に遭ったことをきっかけに、ユニークな整体技術の指導者としての資格を手に入れた彼女は、その技術で消防士たちの健康回復に取り組もうと決意し、ニューヨーク市消防本部・32分署を訪れる。消防士たちは、大惨事の直後も、有害物質が粉塵となって舞い上がるビル崩壊現場で捜索の任務に就き、肉体だけでなく精神も極限にまで疲れ切っていた。それでも彼らは明るく振舞い、決して心の痛みを表には表わさず日常の任務をこなしていた。彼女は辛い経験を心の底に押し込めて生きることの苦しさを知っているだけに、事件のショックを心の奥底に封じ込めている消防士たちが、重大なトラウマに苦しめられることになると直感していた。9.11同時多発テロについては、これまでもたくさんの本が出版され映画も作られているが、本書は消防士たちの武勇伝ではなく、必要以上に彼らを英雄視したものでもなく、弱さも併せ持つ生身の人間としてリアルに描いている。人を救うとはどういう事か、本当の愛とは何かをテーマに、常に自問自答を繰り返しながら、消防士たちと彼女との魂のぶつかり合う様子を本書は見事に描いている。随所に織り交ぜられる消防士の証言は、表面的に伝えられていることだけでは決してうかがい知れない真実に満ちていて、あの事件の悲惨さが改めて伝わってくる。アメリカで本書が出版されて以来、9.11の消防士の存在が再び注目を集めることになり、消防士たちの力になりたいという思いでいたジェシカは、彼女が探し求めていたものを遂に見つけることになった。
定価:1814円
  • サイズ:21 x 14.8 x 2.5 cm
  • 頁数:192
  • 発刊日:2015/03/30
  • ISBN:978-4865702989
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ジェシカ・ロック

アレキサンダー・テクニックを駆使した消防士支援活動をおこなう。現在はより大きな支援をおこなうためにジェシカ・ロック消防士基金を設立し、消防士のための医療支援、財政支援をおこなっている。